40代・50代になると突然襲ってくる「肩が上がらない」「夜も痛くて眠れない」といった症状。
それは「五十肩(肩関節周囲炎)」かもしれません。
この疾患は放っておくと数年単位で生活に支障をきたすこともありますが、西洋医学と東洋医学、それぞれの視点から理解し対応することで、痛みの軽減や早期改善が可能です。
この記事では、五十肩のメカニズム、鑑別、検査、治療、そして日常生活でできるケアや養生法を、東西医学の統合的な観点から専門的に解説します。
Contents
五十肩とは(概論)
- 西洋医学:肩関節周囲の筋肉・腱・関節包などの慢性的な炎症と拘縮による機能障害。
- 東洋医学:気血の流れの停滞(瘀血・寒湿・虚証など)による「痺証(ひしょう)」や「痺痛(ひつう)」とされる。
病態の違い
| 観点 | 病態の理解 |
|---|---|
| 西洋医学 | 関節包・滑液包・腱板の炎症・線維化→拘縮 |
| 東洋医学 | 肝腎虚、気血両虚、寒湿侵襲、瘀血阻滞により経絡不通 |
鑑別と検査法
● 西洋医学
- X線、MRI、超音波検査により他の肩疾患(腱板断裂、石灰沈着、関節症など)を除外
- 徒手検査(Neer、Hawkins、Apley など)
● 東洋医学
- 舌診・脈診・腹診・望聞問切
- 痛みの性質(刺すような痛み=瘀血、重だるい=湿邪)
- 体質判断(虚証・実証・寒熱など)
治療法の比較
| 分類 | 西洋医学的治療 | 東洋医学的治療 |
|---|---|---|
| 薬物療法 | NSAIDs、ステロイド注射、ヒアルロン酸注射 | 漢方薬(桂枝加苓朮附湯、独活葛根湯、防已黄耆湯など) |
| 理学療法 | 温熱、ストレッチ、可動域訓練、筋トレ | 温灸、指圧、按摩、ストレッチ、気功体操 |
| その他 | 関節鏡下手術(拘縮解離) | 鍼灸治療(経絡の疎通)、カッピング、吸玉療法 |
自宅ケア・リハビリ法
● 西洋医学ベースの自宅ケア
- 壁這い運動、タオル体操、温湿布
- 姿勢矯正、定期的なストレッチ
● 東洋医学ベースのセルフケア
- お灸(合谷、肩井、天宗など)
- ツボ刺激:肩井(けんせい)、曲池(きょくち)、天宗(てんそう)
- 気血の巡りを良くする温浴や生姜湿布
養生法・生活習慣の整え方
● 西洋医学的観点
- バランスの良い運動(肩関節の可動性維持)
- 肩こり予防、冷え防止
- 血糖・血圧の管理(糖尿病・高血圧との関連)
● 東洋医学的観点
- 「腎・肝の補養」:黒豆・黒胡麻・枸杞子(くこし)など
- 季節に応じた養生(特に「寒湿」の多い冬場)
- ストレスによる気滞・瘀血の予防(深呼吸・太極拳)
まとめ
五十肩は、西洋医学では構造的疾患、東洋医学ではエネルギーと血の滞りによる症状として理解され、両者のアプローチを統合することで、より効果的な治療と予防が可能です。
- 急性期:痛み緩和を優先(安静・冷却・薬物)
- 拘縮期:可動域改善(ストレッチ・理学療法・鍼灸)
- 回復期:筋力回復と養生法
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