更年期のめまい

■ 西洋医学における「更年期のめまい」

1. 背景と定義

  • 更年期(平均45〜55歳前後)は卵巣機能低下によるエストロゲン欠乏状態により、自律神経系・中枢神経系・精神状態に影響を及ぼす。

  • めまいは更年期障害の一症状であり、器質的疾患がないのに頻発する回転性/非回転性のふらつきや不定愁訴として現れる。

2. 症状の特徴

めまいのタイプ 特徴
浮動性めまい フワフワとした不安定感。持続的、日内変動あり
立ちくらみ 起立時のふらつき。血管運動神経の不安定による
回転性めまい 比較的稀だが、耳疾患との鑑別が必要

3. 病態・原因

  • エストロゲン低下 → 自律神経の不安定化
  • 視床下部-下垂体-卵巣軸(HPO軸)の調節障害
  • 交感神経優位・血管運動神経の乱れ
  • 睡眠障害・不安・うつといった精神症状の併発

4. 鑑別すべき疾患

  • BPPV(良性発作性頭位めまい症)
  • メニエール病
  • 起立性低血圧、貧血、低血糖
  • 脳血管障害(TIA等)
  • パニック障害・不安障害

5. 治療方針

アプローチ 内容
ホルモン補充療法(HRT) 更年期全体の不定愁訴軽減。動静脈症状、精神症状、骨粗鬆症予防にも有効
自律神経調整薬 加味逍遙散(保険適応)、加味帰脾湯など
向精神薬 抗不安薬(短期使用)、SSRI/SNRI(併存うつ病への対応)
生活指導 睡眠改善、ストレス軽減、バランスの取れた食生活

■ 東洋医学における「更年期のめまい」

1. 証型分類と病因病機

証型 病因・病機
肝腎陰虚 加齢・出産・過労などによる腎精の虚損、肝陽の亢進による頭昏・耳鳴
肝気鬱結 感情抑圧・ストレスによる肝気の鬱滞、気滞血瘀
気血両虚 気血の生成不足により清陽不昇、頭目の栄養不全
痰湿内生 脾虚からの水湿停滞、清竅阻害による眩暈

2. 漢方治療例

証型 漢方薬
肝腎陰虚 知柏地黄丸、杞菊地黄丸
肝気鬱結 加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯
気血両虚 十全大補湯、人参養栄湯
痰湿中阻 半夏白朮天麻湯、苓桂朮甘湯

3. 養生法

食養生

  • 肝腎陰虚:黒ゴマ、クルミ、山芋、枸杞子
  • 痰湿中阻:湿を除く食材(ハトムギ、陳皮、しょうが)

心身調整

  • 太極拳、ヨガ、気功など呼吸と動きを伴うリズム運動
  • 入浴による血流促進・自律神経安定化

情緒のコントロール

イライラや抑うつは肝気鬱結を悪化させるため、セルフケアやカウンセリングも併用

まとめ

更年期のめまいは、ホルモン変動と自律神経失調が複雑に関与しており、器質的疾患の除外とともに、心理社会的背景や体質の評価が極めて重要です。

東西医学を組み合わせることで、患者の訴えをより全人的に捉え、柔軟かつ効果的な対応が可能になります。

SATOセラピストスクール代表
鍼灸師|鍼灸専門学校の教員資格保有

長年にわたる技術指導やスタッフ教育の経験を活かし、「わかりやすく」「実践に取り入れやすい」セミナーの開催を心がけています。

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