日本人の約1割が「何らかのめまいを経験している」と言われています。背景にあるのは耳の障害?それとも脳?あるいはストレス?──多面的な視点が求められる今、東洋と西洋、両医学の知見を再確認してみませんか。
■ 西洋医学的観点からの「めまい」
1. 症状・病態分類
めまいは主に以下の3つに分類されます:
| 種類 | 特徴例 |
|---|---|
| 回転性めまい | 自分または周囲が回っている感覚。前庭障害に起因 |
| 浮動性めまい | ふわふわした不安定感。中枢性や自律神経系障害 |
| 立ちくらみ | 失神様症状。循環器系、起立性低血圧が原因のこと |
2. 主な原因と病態生理
| 原因疾患 | 病態機序 |
|---|---|
| 良性発作性頭位めまい症(BPPV) | 耳石の迷入により半規管が異常刺激される |
| メニエール病 | 内リンパ水腫による内耳圧亢進 |
| 前庭神経炎 | ウイルス感染後の神経炎症 |
| 脳幹・小脳梗塞 | 中枢前庭系障害 |
| 起立性低血圧 | 血圧低下による脳血流不足 |
3. 診断
- Dix-Hallpike検査(BPPVの確認)
- MRI/MRA(中枢性鑑別)
- 聴力検査・ENG/VNG(末梢性と中枢性の鑑別)
- 自律神経機能検査
4. 治療法
| 疾患名 | 治療法 |
|---|---|
| BPPV | エプレイ法などの耳石置換法 |
| メニエール病 | 利尿剤、ステロイド、減塩食、ベタヒスチン |
| 前庭神経炎 | ステロイド、制吐薬、リハビリ |
| 中枢性めまい | 原因疾患(脳血管障害など)への対処 |
| 起立性低血圧 | 水分・塩分補給、昇圧薬(ミドドリンなど) |
■ 東洋医学的観点からの「めまい」
1. 東洋医学における病態分類
東洋医学では「眩暈(げんうん)」と呼び、以下の病証に分類します:
| 病証分類 | 主な特徴と証 |
|---|---|
| 肝陽上亢 | ストレス、怒りなどによる肝気の高ぶり |
| 腎精不足 | 加齢や慢性疾患による腎精の虚消 |
| 痰湿中阻 | 飲食の不摂生による痰湿の内生 |
| 気血両虚 | 疲労や慢性病後の気血の不足 |
2. 診断
- 舌診:痰湿(舌苔厚膩)、気虚(淡白舌)、腎虚(舌質紅少苔)
- 脈診:弦脈(肝陽)、沈細(腎虚)、滑脈(痰湿)
- 問診:体質・感情・生活習慣との関連
3. 漢方薬・鍼灸
| 病証 | 漢方例 | 鍼灸部位 |
|---|---|---|
| 肝陽上亢 | 釣藤散、抑肝散加陳皮半夏 | 太衝、風池 |
| 腎精不足 | 八味地黄丸、六味丸 | 腎兪、命門 |
| 痰湿中阻 | 半夏白朮天麻湯 | 中脘、足三里 |
| 気血両虚 | 十全大補湯、人参養栄湯 | 脾兪、気海 |
4. 養生法(東洋医学)
食養生:
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肝陽上亢:酸味(梅干し等)・苦味を適度に取る
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腎虚:黒豆、黒ゴマ、山芋など補腎食品
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痰湿:油っこい物や冷たい飲食を避ける
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生活習慣:
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睡眠リズムを整える
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感情の安定(肝気の平衡)
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過労を避ける
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■ 総合的アプローチ
現代医療では、西洋医学による原因診断と急性期対応が第一ですが、慢性期や再発予防には東洋医学的調整が有効なこともあります。
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例:BPPV後の不安感 → 抑肝散による精神安定補助
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例:原因不明のふらつき → 痰湿中阻に着目した漢方調整
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