「ピクッと反応した時、そこには“科学的意味”がある」
筋肉に鍼を刺したときに起こる、瞬間的な収縮反応。
ただの偶然? いいえ、それはトリガーポイントに正確にアプローチできた証拠かもしれません。
この現象は、「筋肉の短収縮(Shortening Contraction)」あるいは「局所伸張反応(LTR)」と呼ばれ、
鍼灸の鎮痛メカニズムを裏づける重要な生理反応として注目されています。
筋肉の短収縮(LTR型)のメカニズム
①トリガーポイント部位の特徴
- 筋肉内の一部が短縮・過活動状態になり、持続的な収縮を起こしている
- 周囲に痛覚物質(ブラジキニン、セロトニン、P物質など)が蓄積
- 運動終板(神経と筋肉の接点)が興奮しやすくなっている
② 鍼刺激による神経−筋反応
- 鍼がその運動終板近傍を刺激
- その刺激が感覚神経→脊髄→運動神経へと反射的に伝達
- 結果:筋繊維の一部が「ギュッ」と一時的に短縮(=短収縮)
③ 短収縮の目的と治療効果
- 異常な収縮を「一度強く収縮させる→脱力」させることでリセット
- 局所血流が回復し、発痛物質が排出され、筋肉の緊張が緩む
- 結果として、痛みの軽減・可動域の改善が期待できる
鍼灸師向け 臨床での活用ポイント
- ドライニードリング、深部トリガーポイント鍼法で重視される反応
- 「ピクッ」とした反応があれば、効果的な刺激が入った証拠
- ただし、過剰な短収縮反応は術後の筋肉痛(鍼反応)や不快感につながるため注意
補足:反応が起きる条件
- 適切な角度・深度で、筋の線維方向を意識して刺入
- トリガーポイントに直接刺入することが必要(筋膜よりも深部筋)
まとめ|筋肉の短収縮(LTR)の臨床的意義
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短収縮反応(LTR)とは:
トリガーポイントへの鍼刺激により起こる一過性の筋収縮反応。
→ これは運動終板の異常興奮部位に刺鍼が届いたサイン。 -
メカニズム:
感覚神経刺激 → 脊髄反射 → 運動神経を介した局所筋収縮。
→ これにより筋緊張が“リセット”され、血流・代謝改善 → 鎮痛効果へ。 -
臨床応用:
筋由来の慢性痛やこわばり、可動域制限への治療に有効。
深部トリガーポイント鍼法やドライニードリングなどで広く応用。 -
注意点:
全てのケースでLTRを起こす必要はない。
過剰な刺激による術後痛(鍼反応)には配慮が必要。
「ピクッと動く=効いている」ではなく、
その反応の“意味”を知って使いこなすことが、プロの鍼灸師です。
この短収縮の生理学的理解があれば、より効果的な施術が可能になります。
施術効果を裏付ける知識として、患者様への説明にもぜひご活用ください。
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